総務政策部会厚生部会

島根県松江市で、島根県に伝わる文化芸術としての代表的な神楽「佐陀神能」「大元神楽」「大土地神楽」「島後久見神楽」の振興、保存・継承についての取組について、視察調査しました。神楽の保存・継承は、地域振興や維持につながるため、調査研究として、①各地の神楽比較研究 ②神楽と地域創造 ③祭礼と芸能に関する研究等が実施されており、研究成果の情報発信も積極的に行われています。
課題としては、地域の過疎化や高齢化による後継者不足、神楽の価値を高める手だて及び国への支援プログラムの提案等があります。
広島県広島市では、令和6年3月策定の「広島県地域公共交通ビジョン」について、視察調査しました。目指す姿は、県民の暮らしと、地域・経済の共創を支え、広島の価値を高める社会基盤としての地域公共交通の実現であります。基本的な考え方は、人の移動に着目、データ活用と未来からの視点、広島県の地域類型(6つのパターン)の設定であります。
また、公共交通の利便性と持続可能性の向上を目的として、交通事業者、利用者、受益者が主体的に連携し、デジタル技術を活用しながら、交通と生活サービスの相乗効果を生み出す取組「広島型MaaS推進事業」について、視察調査しました。
その中で、LINEを活用した地域住民によるボランティア輸送の持続可能性を高める取組としての世羅町の社会実装計画は、参考となりました。
厚生部会

令和元年の合計特殊出生率が日本トップクラスの2.95を記録した岡山県奈義町で、町独自の子育て支援策や若者定住施策など少子化対策の取組を視察調査しました。特に、少子化による人口減少が、奈義町に住むすべての人に関係する最大の課題であるとの理念の元、住民みんなで町の未来を考えることが大切であるとし、少子化対策は、最大の高齢者福祉であるとして取り組まれており、海外メディアからも注目されています。
少子化対策の経済的支援の主な例として、①特定不妊治療費の助成 ②出産祝い金 ③小中学校給食費、教育教材費の無償化 ④高校生までの医療費無料、就学支援金 ⑤在宅育児をする保護者への支援金など充実した支援制度が創設されていました。
また、「地域と行政につながる伴走型の産前産後のケア」「地域と子育て拠点施設なぎチャイルドホーム」「12人のALT配置事業」「しごとコンビニ事業」「雇用の創出としての企業誘致」「分譲住宅の整備」など子育て支援策としてユニークな取組がなされており、大いに参考になりました。
また、スーパーから出る食品ロスは、全国で60万トンに上りますが、SDGsでは、2030年までに食品ロスの半減を掲げており、その目標を前倒しで実現しそうな岡山県のスーパー「株式会社ハローズ」を視察調査しました。
このスーパーでは、食品ロスを大幅に減らした上で、それでも出るロス分をフードバンクに寄付しています。食品を廃棄せず社会全体で有効に活用していく取組は全国へと広まりつつあります。さらに、フードバンクを通さず引き取り団体が近くのハローズの店舗に直接取りに来る仕組み「ハローズモデル」を確立し、一躍脚光を浴びています。
商工建設部会

本県とソウルを結ぶ定期便を運航しているソウル広域市のアシアナ航空で、令和6年12月18日から週7往復14便に増便となった運航状況や経済波及効果等について、視察調査しました。
今後、本県と韓国との文化交流や経済交流がこれまでにも増して活発化すると同時に、観光誘客の増加に拍車がかかるものと期待されます。
また、宮崎県職員を派遣しているCLAIR(自治体国際化協会)ソウル事務所で、本県の観光・物産・福祉に役立つ海外情報のPRや反響等について視察調査しました。
さらに、JNTO(日本政府観光局)ソウル事務所及びロッテ観光開発で、韓国の最新の訪日旅行動向や経済動向について、視察調査しました。
これら韓国の海外情報や経済指標は、今後の本県の商工観光・経済施策を実施する上で、大いに参考となりました。
環境農林水産部会

東京都八丈島八丈町で、離島の農業を取り巻く環境と施策について、視察調査しました。
八丈島の気候は、高温多湿で雨が多く、風が強いため、切り葉や観葉鉢物などの花き園芸が盛んに行われており、中でもフェニックス・ロベの切り葉は国内最大の生産地となっています。
八丈島で農業を始めるまでの八丈町の農活支援策として、連絡・技術習得・計画・農地取得・就農開始など就農者向けに段階に応じた濃密な支援策が準備されており参考となりました。
また、農業用施設のDX化により、農業者の省力化と作業の効率化、生産物の高品質化に向けた取組を実施し試験運用を行っている「八丈町農業担い手育成研修センター」を現地視察しました。
また、「未来に残す東京の農地プロジェクト」の一環として、八丈町の「農地の創出・再生支援事業」の取組を調査しました。
長田商店では、イタリアのスローフード協会から認定された名産品「八丈島くさや」の歴史・製造過程と販売所を現地視察しました。
文教警察企業部会

現在、本県をはじめ全国的に、小・中不登校の子どもの数が29万9048人と増え続けている中、教育機会確保法第10条に基づく初の私立小学校特例校である「東京シューレ江戸川小学校」を視察調査しました。本学の特色は、①子どもがつくる・子どもとつくる ②子ども中心・子どもが大切にされる ③体験を通して学ぶ ④異年齢で学ぶなど子どもが主人公の学校づくりが進められていました。また、地域連携型の学校として、地域・行政・NPOとの協働作業による教育が展開されていました。本学のモットー及び課題として、①不登校の子ども・保護者への共感と理解 ②子ども一人ひとりが自己肯定感を培い、安心と自信を得て歩める成長支援 ③多様な学びがもっとできる体制づくり ④教育機会確保法の周知 ⑤社会はどんどん変化している。今、新しい教育を開く好機とすべきなど不登校対策として示唆に富む内容であり、大いに勉強させられました。
特別支援学校である「東京都立志村学園」を視察調査しました。本校の目標は、教育を通して児童・生徒のQOLを向上させる学校・特別支援教育のトップリーダーとしての学校です。特に、肢体不自由教育部門(小学部・中学部・高等部)では、障がいに応じたカリキュラムが準備されており、自立と社会参加を目標に、個々に応じた指導と支援が充実していました。高等部就業技術科では、生徒全員の企業就労を目指し、職業に関する教科として、①ビルメンテナンスコース ②流通・都市農園芸サービスコース ③食品加工コース ④介護・コミュニケーションコースが設置されており、専門性を身に付けることができるなど充実しており、勉強になりました。