
この先達塾は、平成20年度にスタートし今回で第6回を数えますが、県内の著名な方やそれぞれの立場で研究、活躍されておられる方々を講師に迎えての勉強会で、議員活動に資するために開催しているものであります。
今回は、宮崎産業経営大学経営学部の眞嶋一郎教授と日本銀行宮崎事務所の松尾徹所長のお二人を講師にお迎えし、今後の農業として注目されている6次産業としての農商工連携の可能性やリーダーの危機管理、東日本大震災等が本県経済に与える影響と今後の動向等について、多くの議員参加のもと勉強会を行いました。
まず、眞嶋教授からは、「宮崎は今-宮崎県における産業連携の可能性と危機管理」と題して話を頂きました。

また、農商工連携の可能性を確実なものにするためには、情報発信・収集の充実強化、組織支援体制の強化や宮崎らしさを追及することが重要なポイントであると話されました。
次に、リーダーの危機管理では、リーダーの指導力、統率力が重要であり、よくある危機と新しい危機に分けた対応が必要であるが、急を要する危機に取るべき行動としては、アナリスト(専門家)をいかに選択し状況診断するか、現場をよく見、暗黙知(勘、経験、度胸)をいかに発揮するか、リーダー自身が戦略を選択し前面に立てるかであり、これらは、リーダーの重要な資質であるとのことでした。
そして、危機管理で注目される手法として、BCP(事業継続計画)とBIA(事業影響度分析)があるとの話があり、BCPの方策としては、自助、共助、公助の3つがあり、地震リスク対策として、物的損害対策(代替生産等)、人的損害対策(代替体制等)、エネルギー等損害対策(公共インフラ、サプライチェーンの確保等)が重要になってくるとのことでありました。
従って、リーダーは、限られた経営資源の中で、日頃から、いかに危機感を持って準備しておくことが必要だと話を結ばれました。
県議会自民党としては、本県は農業県であり、教授の話は、これからの農業の方向性を示唆したものとして、今後、6次産業への取り組みへの推進にも力を入れた議会活動をして行きたいと感じたところであります。
また、リーダーの役割として、日頃から危機管理に対する意識を持っておくことが重要であり、我々もそのことを常に意識し活動をして行きたいと考えています。
次に、松尾所長からは、「東日本大震災等が本県経済に与える影響と今後の動向」についての話を頂きました。
まず、総括的な話として、3.11大震災の影響については、被災地の生活など復興については、これからの課題が多いが、経済への影響は、予想外に早く復旧しており、元の景気に回復している過程で、中長期的には成長力は変わらないとのことでした。
その中で、宮崎県の経済は、大震災後、宮崎の経済が抱える構造的な課題が一段と鮮明になってきているとしたうえで、全国経済に歩調を合わせて持ち直す動きは出てくるが、それは緩やかな動きにとどまるだろうとの話がありました。


本県における大震災の影響は、特に、観光面に出ており、宮崎空港の乗降客数の減少にも表れ、旅館、宿泊者数で、大きな落ち込みとなっており、6月に入ってやや持ち直してはいるものの、以前からすればかなりの減少となっているとのことでありました。
その要因の一つとして、交通の利便性にあるとの分析で、鹿児島が、新幹線効果により経済指数が大幅に改善しつつあるとの話があり、県議会自民党としても、高速道の整備や鉄道の高速化など交通網の整備促進が一段と重要になってくることを改めて認識し、これまで以上に力を入れて活動を続けていく必要があると強く感じたところであります。
また、本県の雇用状況についても、有効求人倍率が全国に比べ水準が低いことや雇用する職場の増えてきていないことのほか、現金給与所得が伸びてこないので、前向きな消費にも繋がらないという本県の構造的な要因があるとの話がありました。
電力需要と生産活動については、今年度は企業等の取り組みで何とか対応できるが、今後の電力供給いかんによっては、来年度以降影響が出、ひいては製造業の空洞化に繋がることが懸念されるとの話があり、このことにも十分留意していく必要があると感じたところであります。
しかしながら、自然環境に恵まれ、生産資源を持つ宮崎は、魅力的であり、今回の大震災で、全国の生産体制が見直されていく中で、今後どう宮崎を位置付けられるかが重要であり、一段の交通網の整備促進によって観光面やアグリビジネスなど生産から加工における付加価値を高めていくことにより農業面でも、発展の余地はあるとの話で先達会の勉強会は終了しました。
県議会自民党としては、今回の勉強会を通して、財政基盤が脆弱で構造的な問題や口蹄疫からの復興など多くの課題を抱えている本県にとって、厳しい状況は今後も続くものと思われますが、宮崎らしい県政の発展のため、意を新たにし議会活動に取り組んでいきたいと考えています。